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アンドレア・ボチェッリはこれまでにも「ポップス作品」をリリースしてきているが、今回はいつも以上にポップス色が強い。イタリアやフランスのポップスのカバーが多いが、英語圏の音楽に馴染んでいる者でもどこかで聴いたことがある曲が多い。しかしイタリア語、スペイン語、フランス語、英語と、普通に4カ国語で歌い分けられているのはちょっと凄い。やっぱりヨーロッパ人は凄いな(と、仕事で、英語ペラペラなフランス人に会ったりした時も思う)。
この人は圧倒的に歌が巧いが、技術的な巧さではない。情緒的な巧さだ。黒人ならばソウル・シンガーと呼ばれるだろう。だから、日頃オペラに何の興味も示せない私でも、ボチェッリは大好きだったりする。そんな彼の持ち味が発揮されるのは、スケールの大きい、広がりのある曲。「Mi Manchi」での伸び伸びとしたボーカルは本当に気持ちいい。うるさくない程度に絡むケニーGのサックスもいい。「Solamente Una Vez」や「Canzoni Stone」あたりもいい。後者ではスティービー・ワンダーがハーモニカ(だけ)で参加して、これまたいい味を出している。「ベサメ・ムーチョ」とか「枯葉」とか、むしろちょっとベタすぎるとも言える選曲が序盤に並ぶのでちょっと不安になるが、それ以外は実に上品で穏やかな雰囲気の曲が並ぶ(実は終盤は序盤以上にベタになってしまうのだが)。
「Somos Novio」ではアギレラがスペイン語曲でのデュエット相手に大抜擢されているが、知らないで聴いてるとアギレラだとは気付かない。流石の彼女もエゴを抑えて、とにかくボチェッリのデュエット相手に資するべく一生懸命歌っているようで、ちょっと微笑ましい。


